一昨日の深夜、偶然、Youtubeでこの映画にヒットした。
羅生門 デジタル完全版 [DVD]クリエーター情報なし角川映画
制作からもはや60年が経過して著作権の保護期間が切れたのか分割されて全編公開されており、およそ14年ぶりに観てしまった・・・
結果、見終わったのは明け方3時半で超夜更かししてしまったのだが・・・面白いんだから仕方あるまい。
私がここ最近書いてきた記事と大いにリンクするし。
興味ある方は一見あれ!
大学時代に観た時以上に映画のクォリティの高さが理解できた。
私も無駄に生きながらえていた訳ではないな、と。
今更なんだけど黒澤明は紛う事なき天才映画人だね。
1950年でしょ?
世界NO1だっただろうね。
題材、脚本、美術、キャスト、演技力、カメラワーク、音楽、演出・・・・
全てにおいて。
凄いよ、今の目で観てもケチのつけようがないから。
>完璧主義者
>妥協を許さない厳しい演出はことに有名で、何カ月にもわたる俳優たちの演技リハーサル、スタッフと役者を待機させながら演出意図に沿った天候を何日も待ち続ける、カメラに写らないところにまで大道具小道具を作り込む、撮影に使う馬はレンタルせず何十頭を丸ごと買い取って長期間調教し直してから使う、ロケ現場に立っていた民家の二階部分が妨げになる為、住民にお願いして撮影の時だけ二階部分を取りさり、撮影終了後にもとに戻した。
>また黒澤は複数のカメラを同時に回し撮影するというマルチカム手法を頻繁に取り入れた。これはワンシーン・ワンカットで撮るため、役者、スタッフの緊張感を高めリアルで迫力ある映像に結びついていった。
でしょうね・・・・・繋ぎがほとんどないんだもの。
これ、映画と言うか
活動写真
だね。
美しい写真の連続が映画になったと言うか。
絵コンテの神様だよ、黒澤明は。
芸術家は’絵’と’物語’この二つを押さえる事に成功したら天才になれる。
でもよくよく見たら羅生門の頃は大してお金かかってないんだよね。
だって撮影はほとんど藪の中だし登場人物も少ないから。
世界の三船敏郎だって当時は新人なんだから大したギャラ払ってないでしょう?
日本映画は資本力に劣るからクォリティが上げられないって言う輩がいるけど
大嘘
言い訳に過ぎないよ。
2000年代に制作された邦画全て足してもこの映画に及ばんかも知れんね・・・
低予算だろうがほとんど唯一のセット、崩れかけた羅生門は圧巻・・・
柱の太さが並じゃないから。
やっぱり映画美術は大映だね。
大学時代、黒澤作品は結構観たんだけど私は当時からこの羅生門が1番好きだった。
圧倒的評価を得た「七人の侍」ではないだよね。
あの映画は完璧すぎて情報量が多過ぎるために観ていて非常に疲れた。
上映時間が3時間もあるから。
中岡元はこの映画、「羅生門」の看板を観て画家を目指した訳じゃない?
はだしのゲン 9クリエーター情報なし汐文社
私の理由はテーマ性もあるけど
色気
京マチ子の色気、ハンパないもの。
官能と言うか、淫靡と言うか、色香と言うか・・・おまけにホンの少し少年っぽい表情も見せると言う・・・・脱帽・・・・
多襄丸に罪はないよ。
マイッチング何とか先生〜
男の色気も凄いね。
三船敏郎の肉体から発する汗臭いむんむんした何か・・・
森雅之の高貴で端正な顔立ち・・・
この二人の色気は実に対極的だ。
日本人って男女とも体格良くなって顔も良くなったけどそれは一般人の平均値であって昔みたいに突出した逸材は出てこない。
これも書き出すと長くなるんだけど・・・
10代の私が最も共感したのはやはり多襄丸だが今は違う。
志村喬演じる杣(そま)売りの男。
のっけから
わかんねぇ、さっぱりわかんねぇ・・・
って。
世の中で分からないものほど恐ろしいものはない
二十歳を過ぎてから私の口癖になったんだがこの映画で知ったんじゃぁない。
この映画だね。
それから [DVD]クリエーター情報なし東映ビデオ
原作は文豪、夏目漱石。
羅生門ないしは藪の中の原作は漱石にその才能を認められた芥川龍之介。
1本しっかり筋通ってる。
雨宿りの際に暇つぶしに杣売りの話を聞く下人が中学の同窓のムックだろうね。
何がそんなに恐ろしいのか?
って私が何話してもそんな対応しかしないもの。
糠釘太郎、豆腐鎹左衛門。
世の中そんなもんだよ、女なんてそんなもんだよ、って。
何が起きても動じない。
「おい、お前の背中にコンパスが4本刺さってるぞ?」
「そう?気付かなかったよ」
「あの子が村役場にお前の印鑑証明取りに行ってたよ」
「そう?気付かなかったよ」
動じない、動じない、ムック・ザ・ヤマガイトは何が起きても動じない。
鈍感力 (集英社文庫)クリエーター情報なし集英社
そうそう、羅生門に出演した三船敏郎、京マチ子、志村喬の3人は後にこのシリーズに出演しやはり素晴らしい役柄を演じていることは寅さんファンにはお馴染み。
「男はつらいよ HDリマスター版」プレミアム全巻ボックス コンパクト仕様 [DVD]クリエーター情報なし松竹
やはりこのシリーズこそ最期の古き良き日本映画だったんだろう。
これは私の解釈だけどこの映画にも
リアルとリアリティ
このテーマはあると思う。
簡単に言えば強姦事件並びに殺人事件の検証なんだが当事者の3人は皆、違った証言をする。
まぁ全員嘘つきなんだがそれぞれの嘘に
リアリティ
これがある。
世界の黒澤はとっくのとうに全てお見通しだったんだろうね。
人の心ほど恐ろしいものはない
なぜ人は見え透いた嘘をつくのか?
では自分だけは正義と思いたいのかね?
だが・・・・我々はそんな世界を生きてゆかねばなるまい。
フェリーニ映画と同じく、黒澤映画もまた生きて行こうという強い意志表示だった。
制作当時、黒澤明が40歳だったことがせめてのも救いだろう。
終わり

制作からもはや60年が経過して著作権の保護期間が切れたのか分割されて全編公開されており、およそ14年ぶりに観てしまった・・・
結果、見終わったのは明け方3時半で超夜更かししてしまったのだが・・・面白いんだから仕方あるまい。
私がここ最近書いてきた記事と大いにリンクするし。
興味ある方は一見あれ!
大学時代に観た時以上に映画のクォリティの高さが理解できた。
私も無駄に生きながらえていた訳ではないな、と。
今更なんだけど黒澤明は紛う事なき天才映画人だね。
1950年でしょ?
世界NO1だっただろうね。
題材、脚本、美術、キャスト、演技力、カメラワーク、音楽、演出・・・・
全てにおいて。
凄いよ、今の目で観てもケチのつけようがないから。
>完璧主義者
>妥協を許さない厳しい演出はことに有名で、何カ月にもわたる俳優たちの演技リハーサル、スタッフと役者を待機させながら演出意図に沿った天候を何日も待ち続ける、カメラに写らないところにまで大道具小道具を作り込む、撮影に使う馬はレンタルせず何十頭を丸ごと買い取って長期間調教し直してから使う、ロケ現場に立っていた民家の二階部分が妨げになる為、住民にお願いして撮影の時だけ二階部分を取りさり、撮影終了後にもとに戻した。
>また黒澤は複数のカメラを同時に回し撮影するというマルチカム手法を頻繁に取り入れた。これはワンシーン・ワンカットで撮るため、役者、スタッフの緊張感を高めリアルで迫力ある映像に結びついていった。
でしょうね・・・・・繋ぎがほとんどないんだもの。
これ、映画と言うか
活動写真
だね。
美しい写真の連続が映画になったと言うか。
絵コンテの神様だよ、黒澤明は。
芸術家は’絵’と’物語’この二つを押さえる事に成功したら天才になれる。
でもよくよく見たら羅生門の頃は大してお金かかってないんだよね。
だって撮影はほとんど藪の中だし登場人物も少ないから。
世界の三船敏郎だって当時は新人なんだから大したギャラ払ってないでしょう?
日本映画は資本力に劣るからクォリティが上げられないって言う輩がいるけど
大嘘
言い訳に過ぎないよ。
2000年代に制作された邦画全て足してもこの映画に及ばんかも知れんね・・・
低予算だろうがほとんど唯一のセット、崩れかけた羅生門は圧巻・・・
柱の太さが並じゃないから。
やっぱり映画美術は大映だね。
大学時代、黒澤作品は結構観たんだけど私は当時からこの羅生門が1番好きだった。
圧倒的評価を得た「七人の侍」ではないだよね。
あの映画は完璧すぎて情報量が多過ぎるために観ていて非常に疲れた。
上映時間が3時間もあるから。
中岡元はこの映画、「羅生門」の看板を観て画家を目指した訳じゃない?

私の理由はテーマ性もあるけど
色気
京マチ子の色気、ハンパないもの。
官能と言うか、淫靡と言うか、色香と言うか・・・おまけにホンの少し少年っぽい表情も見せると言う・・・・脱帽・・・・
多襄丸に罪はないよ。
マイッチング何とか先生〜
男の色気も凄いね。
三船敏郎の肉体から発する汗臭いむんむんした何か・・・
森雅之の高貴で端正な顔立ち・・・
この二人の色気は実に対極的だ。
日本人って男女とも体格良くなって顔も良くなったけどそれは一般人の平均値であって昔みたいに突出した逸材は出てこない。
これも書き出すと長くなるんだけど・・・
10代の私が最も共感したのはやはり多襄丸だが今は違う。
志村喬演じる杣(そま)売りの男。
のっけから
わかんねぇ、さっぱりわかんねぇ・・・
って。
世の中で分からないものほど恐ろしいものはない
二十歳を過ぎてから私の口癖になったんだがこの映画で知ったんじゃぁない。
この映画だね。

原作は文豪、夏目漱石。
羅生門ないしは藪の中の原作は漱石にその才能を認められた芥川龍之介。
1本しっかり筋通ってる。
雨宿りの際に暇つぶしに杣売りの話を聞く下人が中学の同窓のムックだろうね。
何がそんなに恐ろしいのか?
って私が何話してもそんな対応しかしないもの。
糠釘太郎、豆腐鎹左衛門。
世の中そんなもんだよ、女なんてそんなもんだよ、って。
何が起きても動じない。
「おい、お前の背中にコンパスが4本刺さってるぞ?」
「そう?気付かなかったよ」
「あの子が村役場にお前の印鑑証明取りに行ってたよ」
「そう?気付かなかったよ」
動じない、動じない、ムック・ザ・ヤマガイトは何が起きても動じない。

そうそう、羅生門に出演した三船敏郎、京マチ子、志村喬の3人は後にこのシリーズに出演しやはり素晴らしい役柄を演じていることは寅さんファンにはお馴染み。

やはりこのシリーズこそ最期の古き良き日本映画だったんだろう。
これは私の解釈だけどこの映画にも
リアルとリアリティ
このテーマはあると思う。
簡単に言えば強姦事件並びに殺人事件の検証なんだが当事者の3人は皆、違った証言をする。
まぁ全員嘘つきなんだがそれぞれの嘘に
リアリティ
これがある。
世界の黒澤はとっくのとうに全てお見通しだったんだろうね。
人の心ほど恐ろしいものはない
なぜ人は見え透いた嘘をつくのか?
では自分だけは正義と思いたいのかね?
だが・・・・我々はそんな世界を生きてゆかねばなるまい。
フェリーニ映画と同じく、黒澤映画もまた生きて行こうという強い意志表示だった。
制作当時、黒澤明が40歳だったことがせめてのも救いだろう。
終わり